医療用機器の研究開発に用いられた、精密な彫刻加工の一例です。
わずか10ミリ四方という小さな領域の中に、微細な突起が密に並ぶ構造を施しました。
素材は銅。加工素材としては比較的やわらかく、熱や刃圧で変形しやすいため、
形状の維持と彫刻の安定性が求められる、難度の高い案件でした。
『赤坂式半月彫刻法』が持つ刃物の安定性と、繊細な再現力により、
ひとつひとつの突起を、均一な深さと幅で彫り出すことに成功しています。
精度とは、小ささではなく、整い続けること。
その思想をかたちにした、象徴的な加工例です。
そして何より、この技術が“病を癒す”現場に寄与していることを、
私たちは静かに誇りに思っています。