「2024年度 精密工学会 秋季大会 学術講演会」にて、
赤坂金型彫刻所・三代目 赤坂兵之助が、
伝統技法「半月一枚刃Ⓡ」の技術的特性と、
現代加工技術との融合について学術発表を行いました。
「半月一枚刃Ⓡ」は、戦前の創業者である初代が、
片手というハンディを乗り越えて生み出した独自の刃物。
その後も二代目、三代目と代々にわたって研ぎ澄まされ、
今では金型・刻印・彫刻といった
“精緻で表現力あるものづくり”の中核を担っています。
本発表では、この伝統的な刃物が、
いかに現代の3D-CADやマシニングセンタといった加工環境と
“比翼連理”のように融合し得るかをテーマとし、
「不易流行」の思想のもと、伝統と革新の交わる地点を論じました。
それは、単なる工具としての評価にとどまらず、
日本の職人技の根底に流れる思想と矜持──
「静かな誇り」や「職人の不動」といった価値観に、
どのように現代的な文脈を与えられるかという“挑戦”でもありました。
当日は着物で登壇し、三代にわたる思いや技術を、
ものづくりの未来を担う研究者・技術者の皆さまへと伝えられたこと、
深く感慨に堪えません。
このような場に立てたことに、心より感謝申し上げます。
そして、こうした取り組みが、小さくとも確かな灯火となり、
未来の世代が「ものづくり」に、
誇りと関心を持つきっかけとなることを願ってやみません。
赤坂金型彫刻所は、これからも、刃と思想を磨きながら、
技術と感性の交差点から、“かたち”を生み出してまいります。