『赤坂式半月彫刻法』生かし金属加工で"楽しさ"提供
業務内容:半月一枚刃の改良で芸術性高い製品を製造
隻手(せきしゅ)の彫刻師・赤坂 兵之助(ひょうのすけ)氏がハンデを克服しようと確立した彫刻法「赤坂式半月彫刻法」。
それを引き継いだ息子の幸男氏、孫の雄大(たけひろ)氏は、その中でも重要な役割を果たす半月一枚刃に工夫や改良を重ね、精密で芸術性に富んだ射出成形金型の製造や彫刻加工、刻印製作を続けてきた。
現代表である雄大氏は、マシニングセンター(MC)など最新の加工機械に半月一枚刃を組み合わせることで曲面上への彫刻加工を容易にしたり、CADデータに基づき企業のロゴマークを立体で忠実に再現するなど、3次元加工の世界に新しい風を吹き込んでいる。
強味:現在の技へつながる力を入れない切削手法
半月一枚刃は丸棒を半分に切り落とし先端を尖らせて刃をつけており、切れ味が鋭く、切りくずが付着しにくいという特徴がある。
そのため金属だけでなく樹脂の切削加工にも非常に有効となっている。
仕事中の不慮の事故で左手を失った兵之助氏は、その後自ら義肢を作って仕事を再開したが、義肢での彫刻作業は身体への負担が大きかったという。
そういった試行錯誤の中で力を入れずに切削する手法や、今の半月一枚刃につながる鏨(たがね)の切っ先の調整方法を編み出した。
現在、半月一枚刃はすべて内製しており、加工する製品の素材や用途に応じて形状や切れ味を最適に調整している。
技術継承:祖父の技を受け継ぎ伝統と機械の融合
兵之助氏の事故後に幸男氏が仕事を手伝うようになり、手動式彫刻機に半月一枚刃を装着。
歯間ブラシの持ち手部分を成形する金型に、一文字あたり縦横1.5㎜の大きさで会社名を彫刻していくという、極めて精緻な加工を数多くこなしてきた。
一方、雄大氏は高校生の頃から加工機械を使いこなし、当時からNC(数値制御)フライス盤に半月一枚刃を取り付けて作業をしていたという。
雄大氏は「祖父は刃物をとことん追求した。その刃物から最新の加工機械にもアプローチすることで、これまでにない加工や表現が可能になった。」と話す。
赤坂兵之助(ひょうのすけ)
隻手(せきしゅ)の彫刻師。
「いかにして少ない負荷で金属に彫刻可能か」という命題の下に確立された刃物と彫刻法をもって、『赤坂式半月彫刻法』を確立。
赤坂幸男
ワイヤ放電加工機、形彫り放電加工機、三次元CAD/CAM、マシニングセンタなどの機械化を進め、現在の基礎を確立。
赤坂雄大(たけひろ)
初代と二代目の特徴を取り込み、現代のコンピュータを使った機械で初代の時代の「タガネ」という道具を使った加工を再現を模索。
今、力を注いでいるのは写真からの凹凸のある立体製品の商品化。
マニシングセンタ作業技能士1級
今後の展望:ものづくりを通して世界をワクワクさせる
雄大氏は代表就任を機に、「私たちは頼れる仲間たちと共にものづくりを通じて、世界をもっとワクワクさせつづけます。」という経営理念を定めた。
平成30年からは結婚式やペットなど思い出の写真を基に、金属板に彫刻加工を施す「メモリアルプレート」の製作・販売を開始。新ブランドも立ち上げた。
雄大氏は「まずは作り手としてワクワクしなければ」とし、喜びや期待を多くの人に届けたいと意気込んでいる。
当ページは、大阪府ものづくり優良企業賞『匠』の取材記事(取材記事は下記PDFアイコン押下で入手可能)から転載許可を得て、再編集したものです。
『金型製作』『彫刻造形』『文字彫刻』『写真転写(cocur~コクール~』のご依頼は、『赤坂金型彫刻所』までお気軽にお問い合わせください。
赤坂金型彫刻所
Our History
赤坂金型彫刻所
代表 三代目赤坂兵之助
祖父である赤坂兵之助の彫刻技術を継承しながら、マシニングセンターや各種の放電加工機など加工設備を充実させ、金属加工の仕事も幅広く請け負ってきました。
祖父は顧客に満足してもらうことを第一に考え、仕事では一切手を抜かない人でした。
今後もその姿勢を受け継いでいきたいと考えています。
・プラスチック射出成形金型の製造
・転写加工
・彫刻加工
・刻印製作
・射出成形金型メーカー
・成形品メーカー
・企業の試作
・研究開発部門
・大学研究室
・デザイナー
住所:
〒581-0814
八尾市楠根町5-57-11
TEL:072-995-2853
FAX:072-995-2854
創業:昭和15年4月
設立:昭和15年4月
資本金:300万円
従業員:2名